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昨年4月に高齢者虐待防止法が成立しました。この法律は、お年寄りに対する虐待が深刻な状況にあり、高齢者の尊厳を守るためにも虐待を防止することがとても重要であることから、「高齢者虐待の防止」と養護者に対する支援をすることで「高齢者の権利利益の擁護」を目的として制定されました。 同法の特徴は、高齢者虐待の定義を明確にしたことです。たとえば、お年寄りが衰弱するような食事制限や長い間放っておくなどお世話を十分にしない所謂「ネグレクト」、暴言を吐いたり、屈辱的な対応をする「心理的虐待」、お年寄りの財産を不当に処分したり、お金を渡さないなどの「経済的虐待」も虐待と定義されました。 また、養護者による虐待については防止と共に養護者への支援を盛り込み、要介護施設従事者などによる虐待と分けたことです。 もうひとつの点は、ほとんどの具体的施策の責任を市町村が担うようになっていることですが、にもかかわらず国からの予算措置は必要経費の約40%しかないということです。 国の調査による虐待の実態は、主な虐待の内容では、心理的虐待が63%で最も多く、ネグレクトが52%、身体的虐待が50%とう結果でした。虐待を受けている高齢者の平均年齢は81・6歳で、約8割が75歳以上の後期高齢者であり、虐待を受けている高齢者の約6割が認知症でした。又、虐待をしていると思われる中心的な人は、息子が32%、息子の嫁が21%、配偶者が20%(夫12%・妻8%)、娘16%という結果が出ています。
同法の成立を受けて、旭川市でも高齢者虐待の防止のために、警察や弁護士会、地域包括支援センターなど関係機関の連携を図るために「旭川市地域高齢者生活支援ネットワーク」が設置され、7月に初会合が開かれました。今後は、実働部隊となる実務者会議の設置を18年度中に行なう予定になっています。
昨年4月から11月までに、「ネットワークミーティング」で協議した処遇困難な虐待の数は15件あり、9月までの4件を2ヶ月で11件も上回っており、法整備後半年を過ぎ、徐々に虐待が顕在化してきたことをうかがわせています。
今後の課題としては、
@お年より自身が虐待を受けているという自覚がない、または加害者が虐待しているという自覚がない場合も多いことから、高齢者虐待とは何かということを市民に知ってもらうための啓発、啓蒙に努めること
A高齢者虐待を見たり聞いたりした場合、どのように対応したらいいのか、どこへ通報したらいいのかについて市民に周知徹底すること
B高齢者の権利擁護として、「成年後見人制度」の利用について広くお知らせし、利用を促進していくこと
C家庭の中での虐待にどのようにして介入していくのが良いのか、早期発見も含めて福祉業務に従事する者のスキルアップなど、むずかしい課題が山積みとなっています。
身体的暴力ばかりでなく、あらゆる意味での暴力を受けずに暮らすことは、安心・安全に生きる上での大前提です。高齢者虐待、こどもへの虐待、女性への暴力は、多くは家庭という閉じられた世界で起こること、社会的に弱い立場の者が被害者となること、今まで顕在化しにくかったことなど、多くの共通点があります。その中でも児童虐待や女性への暴力はすでに法律ができ、少しずつですが進んできています。
高齢者虐待への対応はやっと始まったばかりですが、法律ができたことの意味は大きいと思います。
これら弱者への「セーフティネット」を作ることは行政の重要課題であり、虐待の防止と被害者の救済に向けてこれからも全力で取り組んでいきたいと、決意を新たにしています。