カテゴリ

グラフ旭川 女性市議リレーレポート(連載中)
この20年女たちは・・・そして明日へ 〜ウィメンズネット旭川20週年に寄せて〜
「輝く女性は千手観音?」
「女性議員が増えたら、まちは変わる!」
[ その他のバックナンバーへ ]
グラフ旭川 -女(わたし)たちから女(わたし)たちへ-(連載中)
離婚家庭のこどもへの悪影響を防ぐために
[ その他のバックナンバーへ ]
グラフ旭川 議会珍道中
第140回最終回「選挙公約」をチェックしよう!
第139回「議員の期末手当の増額に市民理解は得られるのか?」
第138回「冬季オリンピックの部分誘致を!」
第137回「市長選挙が終わって、次は総合計画策定!」
第136回「市長選挙に思う」
[ その他のバックナンバーへ ]
SALA(ウィメンズネット機関誌)
キューバ横断、民宿の旅
敗戦から70年、沖縄から考える日本の今
“イクボス”は中小企業の救世主?!
第2分科会DVサポートスタンダード
不妊対策推進事業費NO2
[ その他のバックナンバーへ ]
グラフ旭川 ずっこけ介護バトル
第10回
第9回
第7回
第6回
第5回
[ その他のバックナンバーへ ]
議会関連文書
平成18年度第3回定例議会 一般質問(9.20)
平成18年度第2回定例議会 一般質問(6.27)
平成18年度第1回定例議会 意見開陳(3.24)
平成18年度第1回定例議会 総括質疑(3.22)
平成18年度第1回定例議会 大綱質疑(3.7)
[ その他のバックナンバーへ ]
レポート

SALA(ウィメンズネット機関誌)

« 命のリレー(イラク邦人人質事件によせて) | SALA(ウィメンズネット機関誌)のTOPヘ | 不妊対策推進事業費NO2 »

不妊対策推進事業費

少子化対策に女性の声を反映させよう
不妊対策推進事業?!

6月17日から始まる第2定例議会に「不妊対策推進事業費1、689万円」が補正予算として提出されている。

事業の内容は、体外受精と顕微受精を受けた「法律婚をしている夫婦」に対して、年一回につき10万円、2年間のみ治療費を助成し、費用は国と旭川市が折半するというものである。

この事業は、昨年9月に施行された「少子化社会対策基本法」からの施策展開である。「少子化対策」としての「不妊治療費助成」と聞いて、違和感を持つのは私ばかりでは無い。本来なら、このような課題は「女性の健康支援法」などで規定すべきものである。

この法律には、もっと他に大至急取り組まなければならない課題が盛り込まれているにもかかわらず、施行後たった半年で国は「実施要綱」を作って、地方自治体に事業展開を促してきた。

この急転直下の成り行きに、基本的人権であるリプロの視点と私たちが望む少子化対策とは何かという視点から問題提起するために、議会で取り上げることにした。以下はその論点であるが、質疑の結果は議会終了後の「あっこの議会つうしんぼ」またはホームページをご参照ください。

「生む」「生まない」を決めるのは女性の基本的人権!

まずは事業の名前がおかしい。「不妊」を「対策」すべき課題と位置付け、「推進」していく?大きなお世話だ。「不妊」を対策課題と考えるかどうかは、当事者である女性が決めること。「推進」するかしないかも個人の自己決定にゆだねられるべきである。行政にいちいち言われる筋合いはない。「不妊治療費助成事業」(国の要綱の名前)を「不妊対策推進事業」と名付けた時点で、性と生殖に関する自己決定権に対する認識が足りないと言わざるを得ない。

旭川市の「男女平等を実現し男女共同参画を推進する条例」の第8条には、「男女が、対等な関係の下に、互いに性に関して理解し、及び個人の意思が尊重され、並びに女性が、生涯にわたって、性及び生殖に関して健康な生活を送ることができるように配慮されなければならない。」と明記されている。

このことは、「いつ、どこで、誰と、どのようにこどもを生むか生まないかを決める自己決定権は基本的人権である」という、カイロの国際人口開発会議の宣言や北京での世界女性会議の行動綱領に日本が批 准したことを受けての条文化である。

この条例が制定された以上は、旭川市におけるどのような施策も条例を尊重して展開されるべきである。

確かに「特定不妊治療」は費用が高く、経済的理由であきらめている人もいることから、助成制度ができることで、その人たちの選択肢が増えることに関してはやぶさかではない。しかし一方で、結婚したら、なにがなんでも子どもつくるのが当たり前という無言の圧力が増える危惧もある。「特定不妊治療」は、着床率22〜30%、生子獲得率16%前後と低く、母体への負担が大きいことも指摘されている。「助成制度ができることによって、よりプレッシャーがかかり、不妊治療をしない選択や止める選択をしにくくなる」と不妊の問題を抱えた人のための全国的自助グループ「フィンレージの会」は心配している。また、「不妊に対する支援をするのなら、治療をうけない選択、やめる選択、子どものいない人生への支援など幅広い支援がほしい」とも言っている。

問題ありの「少子化社会対策基本法」

この法律が国会に上程された時には、「フィンレージの会」はじめ各種女性団体はもとより、日本家族 計画協会、日本弁護士連合会などからも、問題点が指摘され、慎重審議や反対または修正の意見書が 出されていた。それにもかかわらず、ほとんど修正もなく可決されてしまったのだ。

問題点は、大まかに言って次ぎのようなことである。

1、少子化の原因分析が不十分かつ恣意的であり、女性の自己決定権に対する認識を欠いている。

2,国が父母その他の保護者の養育を援助するなどの責任を負うことを盛り込むべき。

3,現在の母子保健医療体制をめぐっては様々な問題点があるにも関わらず、不妊治療のみを強調す ることは適切ではない。

4、教育啓蒙を規定するのであれば、「家庭の役割」や「生命の尊厳」についてではなく、少子化の要因 となっている性別役割分業意識の解消、多様な生き方の尊重、男女共同参画社会の形成の視点こそ入 れるべき。

国の少子化対策の矛盾

「少子化社会対策基本法」の成立後、個別法として、平成27年度までの時限立法として「次世代育成 支援対策推進法」が制定された。

「次世代〜法」では、平成17年度中に都道府県と市町村が行動計画を策定しなければならないことになっており、国はそのための「策定指針」を告示した。

「策定指針」は、少子化対策として地方自治体が取り組まなければなければならない事業を事細かに挙げている。そのこと自体は評価したい。せめてもう10年早くそれらの事業が展開されていたなら、合計特殊出生率1・29という結果に右往左往しないで済んだものを、政治家たち(多くは男性)は火の粉が身にかかるまで、それらのことを政治的課題として取り上げてこなかった。「火の粉」とは、労働者不足による税収減少、年金原資不足など、経済への影響である。それらを解決するために、慌てて少子化対策を打ち出してきた。

しかし、国は実に多くの事業を地方自治体に求めながら、財政的支援は打ち出していない。事業と予算は表裏の関係であり、どんなにすばらしい計画でも、予算がなければ十分な施策展開は望めない。しかし今のところ国からの予算措置は決まっていない。それでなくても地方税は減収しつづけ、その上、生活保護費や児童扶養手当などの扶助費が増えつづけ、市の財政は逼迫している。立派な計画を立てようにも予算の裏付けがないのが現状である。

そういう状況にありながら、行動計画策定を待たずに突然予算化されたのが、「不妊対策推進事業費1、689万円」である。

少子化対策の優先順位は?

市の限られた予算で事業を行っていかなければならない時に、考えなければならないことは事業の優先順位である。少子化対策のための事業を予算化していくとしたら、まずは、こどもを産み、育てやすい環境の整備こそ、第1番にしなくてはならない。

仕事と家庭の両立としては、待機児童の解消、延長保育、学童保育の拡充など、安心して子どもを預けられる環境の整備にもっと予算を付けるべきである。

また、今回の出生率調査でも明らかになったように、専業主婦の出生率の低下は、子育て不安の表れでもある。子育て支援センターの拡充やいつでも誰でも利用できる「親子よろこびの広場」を地域に増やすことなどを積極的に予算化すべきである。

生れるかもしれない子どもに少ない財源を使うよりも、すでに生れた子どものために、児童虐待などを未然に防ぐための施策や虐待を受けた子どもへのカウンセリングなどに、もっと予算を使うべきである。

また、道が見直しを決めた「乳幼児医療費助成」「母子医療費助成」について、市が独自で従来どおりに水準を維持しようとすれば、新たな予算が必要になってくる。

何度も言うが、財源は少なく、取り組まなければならない課題は山積みなのが現状である。

以上の観点から、今回の「不妊対策推進事業費」提案は時期尚早であり、次世代育成支援地域行動計 画を審議していく過程で、個人の自己決定権を尊重し、当事者、関係者の意見を聞きながら、施策の優先順位を考慮し、再検討していくべきである。

参考までに、北海道はすでに予算化し10月実施予定。札幌市は、道の動きを見つつ、来年度の予算に反映させる予定。

このページの先頭へ

Copyright (C) Atsuko kubo All Rights Reserved.