| 次ぎに、先程も述べました新たに顕在化してきた課題であるセクシュアル・マイノリティに対する偏見と差別の問題について触れたいと思います。
人権擁護推進審議会の答申「人権救済制度の在り方について」では、積極的救済を図られるべき差別として、同性愛や両性愛などの性的指向が挙げられると同時に、セクシュアル・マイノリティーに位置付けられる「性同一性障害」や先天的に身体上の性別が不明瞭であるいわゆる「インターセックス」を理由とする差別的取り扱いについても、同様に積極的救済を図るべきであると答申しています。これを受けて制定された「人権教育・啓発に関する基本計画」でも、セクシュアル・マイノリティーの問題は、取組の中に明確に位置付けられています。
そういった流れと当事者の方々の思いを受けて、国は、昨年7月「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」を公布し、今年7月から施行しました。この法律は、性同一性障害と診断された者が一定の条件を満たした場合に限って、戸籍の性別を変更できるという法律です。
性同一性障害とは、身体的な性別と心理的な性別が合致せず、そのことに苦悩している状態を指します。たとえば、身体の性が男性であっても心では「自分は女性である」としか思えなければ、大きな違和感が生まれ、たいへんな苦痛を感じることになります。また、逆の場合もあります。同性愛と混同されることも多いのですが、男性の同性愛者は「自分は男である」と認識した上で、男性を性愛の対象としています。心と体の性が一致しているという点で、性同一性障害とは違います。
性同一性障害が起こる原因は、まだよく解っていません。現在では、胎内で心の性が決定する時期に何らかの異常が起こることにより、身体と心の性の食い違いが起こるのではないかと考えられています。
諸外国の統計によれば、おおよそ成人男性の3万人に1人、成人女性の10万人に1人が性同一性障害といわれ、日本では1997年から2003年2月までに主要医療機関を受診した人は約2200人程度ですが、当事者の実数はそれらを遙かに超えるだろうと言われています。
北海道においてもその実数はつかめていませんが、札幌医大に受診している患者数が約90人であり、潜在的人数としては、その10倍以上ではないかと推察されています。
性同一性障害の当事者は、日々暮らしていく上で、偏見や差別的扱いを受けるなど、様々な困難を抱えています。そういった偏見や差別を少しでもなくし、生きやすい社会を創るために、当事者たちが立ち上がり、平成15年に「性同一性障害を抱える者が普通に暮らせる社会をめざす会」を立ち上げました。
彼らの考えを知っていただくために、会の設立趣意書から抜粋して引用させていただきます。
「性同一性障害の当事者をとりまく環境は、相変わらず厳しいものがあります。
私たちは今までは、どちらかといえば、世間から隠れて生きてきたように思います。しかし、埋没し何も物を言わないのでは世の中はかわりません。誰かがやってくれるのを待っていたのではだめなのです。自分の問題は自分で動かなければ良い方向には進まないのです。
会では、当面取り組む課題を実現するために、国会および地方議員への陳情、関係各省庁への働きかけ、フォーラムの開催、マスコミへの情報宣伝など様々な活動を行う予定です。
会の名称を『性同一性障害をかかえる人々』としたことには、わけがあります。私たちは、好きこのんで性同一性障害の当事者として生きているわけではありません。普通に男性として、あるいは女性として生活できるのであれば、どんなにか楽でしょう。しかし、私たちはいろいろな苦しい思いをしながら、この生き方を選択せざるを得ませんでした。『性同一性障害をかかえる人々』とあえて言う意味はそこにあります。
『普通に暮らせる社会をめざす』というのは、この会の最終的な目標です。私たちは、ただ『普通に』暮らしたいだけなのです。何も特別な保護を求めているわけではありません。私たちは、性自認すなわち自分の性別を認識することを除いては他の多くの人々と何ら変わることがありません。でも多くの不利益を被ってきています。偏見にさらされています。他の人と同じように『普通に』暮らせること。これが多くの当事者が願っていることなのです。」と性同一性障害者であるが故の生きがたさとそれを変えていくために行動を開始する思いを語っています。
先日、その会の北海道世話人である日野由美氏と旭川市在住の当事者である岩本睦氏から、旭川市長と旭川市議会議長に「性同一性障害をかかえる人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める要望書」が提出されました。要望書の中には、市に行政として取り組んでほしい課題が11項目に渡って載せられていました。その要望に添って、順次質問いたします。
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